残留基準値を大幅に緩和
こうした世界の潮流に対し、日本政府の動きはそれに逆行しているかのように映る。
食品などのリスク評価をする内閣府食品安全委員会は、グリホサートに関し「発がん性、繁殖能に対する影響、
催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」などとする評価書を2016年7月にまとめた。
この間、農林水産省はグリホサートを有効成分とする農薬の新商品を淡々と登録。
厚生労働省は2017年12月、一部の農産物の残留基準値を引き上げた。
特に目立つのがパンやパスタ、シリアルなどの原料となる穀類で、小麦は5.0ppmから6倍の30ppm、
ライ麦が0.2ppmから150倍の30ppm、とうもろこしが1.0ppmから5倍の5ppmへと、
大幅に引き上げられた。そばも0.2ppmから30ppmへと150倍に緩和された。
薬害エイズの二の舞に?
海外では危ないと言われている農薬の規制緩和に不安を募らせる消費者は多く、
市民団体が独自にグリホサートの残留値を調べる取り組みも始まっている。
3月18日の参議院予算委員会では、質問に立った立憲民主党の川田龍平議員がグリホサートなど農薬の問題を取り上げ、
「薬や食品など国民の命にかかわる分野に関しては、薬害エイズの時のように、
何かあってから対処するのでは取り返しがつかない」と政府の姿勢を厳しく批判。
そして、「EUをはじめ多くの国々がとっている予防原則にのっとって速やかに対策をとるべきだ」と政府に規制強化を迫った。
薬害エイズの被害者だけに、説得力のある言葉だ。
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