「目的を果たすにあたって、状況を(心の葛藤無しに)合理的に判断し、常に冷静沈着で失敗を恐れない」
ような気質をサイコパスの特徴と捉えるならば、彼らは人類社会に有用な影響をもたらすだろうというのが、
『サイコパス 秘められた能力』の著者ケヴィン・ダットンの主張。
ダットンはその例証として、
>>1の記事中で「サイコパスが多い職業トップ10(英国調べ)」5位の外科医に
言及している。
性淘汰がらみでは、心理学者のピーター・ジョナサンと同僚たちの発表した論文を引き合いに出したくだり
が興味をかきたてられた。
論文の題は「ジェームス・ボンドは何者か 闇の三位一体と工作員的社交スタイル」。
特有の人格的三位一体(ナルシシズムの特徴である人並み外れたうぬぼれの強さ。サイコパシーの特徴であ
る恐怖心の欠如、非情さ、衝動性、スリルの追求。マキャベリズムの特徴である不実さと、人を食い物にす
ること)を備えた男性は、じつは社会の一定の階層では独力で大成功できる。しかも、そうした特徴の度合
いが低い男性に比べて、性的な関係にある相手の数が多く、行きずりの短い関係を好む傾向が強い。闇の三
位一体は相手が男性ならハンデになるが、相手が女性ならかえって心拍数を増加させ、遺伝子の増殖の可能
性を増大させるかもしれない、とジョナサンは主張する。
「協調社会の中での裏切り」的な文脈では、ダットンも数理モデルとしてお決まりのゲーム理論に進み、「目
隠しチキンレース」、「共有地の悲劇」と定石を踏んでいくが、それだけでは終わらない。
進化を模倣した数理プログラムに各種の淘汰圧とサイコパスの特徴をぶっこんでシミュレーションすると、
実際の(一般人口に対する)サイコパス存在比率に近い値に収束したとか。
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